ヴィンテージと言えばヨーロッパのバロック、ロマネスク、ゴシックと言った様式が定番ですが、ここに来てマリンテイストとヴィンテージを掛け合わせたスタイルが海好きの間で人気が急上昇しています。
ヨーロッパの地図を眺めてみれば分かるように海洋国家が比較的多く、船の航行は地中海を中心に物資や人々の輸送には欠かせないことから海に根付いた文化も数多く見られるのも特徴です。
そのため、実はマリンテイストとヴィンテージは非常に相性が良く、インテリアの世界でも数多くの関連アイテムが存在しています。
まず最初に部屋の中心に据えておきたいのが、マリンテイストを象徴する定番アイテムである操舵輪のオブジェです。
操舵輪とは船を操縦するためのハンドルで、本物を使用する場合もあれば木や樹脂で作られた装飾用の製品もあります。
船を安全に操作するために欠かせない操舵輪は御守りとしての役割も持っており、これから人生と言う大海原に旅立つ人々が、夢や目標に向かって進んで行くのを見守り、安全を祈願する意味も込められています。
外周の輪の部分にはイラストや彫刻が施されていることがありますが、碇は港に船を碇泊させるが如くしっかりと根を張った安定性のある人生や暮らしを表わし、上部に描かれたカモメは自由気ままに大空を飛び回ることを表わしています。
そこには海への飽くなきロマンが集約されており、マリンテイストの根幹を成している存在です。
壁掛けの時計は潜水艦の窓をモチーフにした製品がトレンドになりつつあり、上部には海水を避けるための庇、文字盤の全面には鉄格子がかけられています。
文字盤にはタイプライター風の文字が刻印されているほか、外周部には一部ペンキの剥がれたような演出もあり、レトロ感満載です。
もちろんクォーツの部分は最新鋭の機構を備えており、確実に時を刻んでくれるので安心です。
つづいて部屋を実用的に利用するための家具ですが、リビングであればダイニングテーブルやチェアにもこだわりたいところです。
最も分かりやすい魚や船の形をした製品もありますが、その一方で船内の食堂で使用されるようなデザインの製品も人気です。
あえて木目や継ぎ目がラフに見えるのがお洒落で、潮風の影響を受けたような程よい劣化や色あせ、使用感があるのも良い味を出しています。
一方、室内の照明には船で使用されているペンダントランプがおすすめです。
透明な裸電球を金属の格子で包み込んでいるデザインで、電球を守りつつ交換のしやすさも両立しています。
電熱線に電気を流すことで発光するやわらかなオレンジ色の明かりは、どこか懐かしさを感じるのと同時に暖かさもあり、船内で夜を過ごしているかのようです。
マリンテイストとヴィンテージを掛け合わせた部屋に窓があるなら、眩しい日差しを遮ったりプライバシーを守るためにもカーテンが欠かせません。
そこでおすすめなのが、シーストライプと言われているデザインのレースカーテンです。
海を表わすブルーのグラデーションが美しく、透け感が透明感のある海を思い起こさせます。
天気の良い日にはシーストライプのカーテンをかければ、ほどよく眩しさを抑えつつも、風に揺られる姿は押しては引く波を表わしているかのようです。
前述の操舵輪のオブジェを正面にテーブルのそばの椅子に座りながら横の窓のカーテンを眺めれば、まるで大海原を航行している船長であるかのような気分を味わえます。
マリンテイストとヴィンテージのいいとこ取りをしたインテリアデザインは、トータルコーディネートが完成してこそひとつひとつのアイテムが活かされるため、細部にわたって徹底的にこだわりたいところです。
それを実現できればこれまでの定番とは一味違う個性的な部屋を構築でき、自身が満足できるのはもちろんのこと、来客者の目も喜ばせます。